開催概要

みどころ

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開催趣旨

 国宝「鳥獣戯画」は、擬人化した動物たちや人びとの営みを墨一色で躍動的に描いた作品です。本展では、展覧会史上初めて、甲・乙・丙・丁全4巻の全場面を、会期を通じて一挙公開します。加えて、かつて4巻から分かれた断簡、さらに原本ではすでに失われた場面を留める模本の数々も集結します。まさに<鳥獣戯画のすべて>をご堪能いただける、またとない機会です。
 「鳥獣戯画」が伝わる京都の高山寺は、鎌倉時代の僧、明恵上人によって再興され、今も多くの美術品が伝来しています。本展では、重要文化財「明恵上人坐像」をはじめとする高山寺選りすぐりの名宝などから、明恵上人の魅力にも迫ります。

 

高山寺

鳥獣戯画が伝わった栂尾山高山寺

 高山寺(こうさんじ)は京都市の北西部、栂尾(とがのお)にあります。創建は奈良時代といわれ、鎌倉時代初期に明恵上人が後鳥羽上皇より寺域を賜り、寺を華厳宗の道場として再興しました。高山寺は学問寺として発展し、いまも貴重な文化財が伝来しています。
 2018年9月、台風が近畿地方で猛威を振るい、境内では200本以上の大木が倒れ、建物が損壊、地盤が崩落するなど大きな被害を受けました。いまも全力で復旧工事が進められています。

国宝 石水院( 鎌倉時代) 廂(ひさし)の間

 

見どころ


  • 第一章
  • 第二章
  • 第三章

鳥獣戯画の全巻全場面を一挙公開

 日本でもっとも有名な絵巻、国宝「鳥獣戯画」は甲・乙・丙・丁の4巻があり、それぞれに動物や人間たちの個性豊かな姿が描かれています。これまでの展覧会では、会期中に巻き替えが実施されていましたが、今回は展覧会史上初めて、通期で4巻全場面を展示し、いきいきとした表現、闊達な筆運びの全貌をご堪能いただけます。


 国宝  鳥獣戯画 甲巻

平安時代・12世紀 京都・高山寺蔵

■ 兎や猿が水遊びする場面。鼻をつまんでダイブする兎にも注目です


 国宝  鳥獣戯画 乙巻

平安時代・12世紀 京都・高山寺蔵

■ 空想上の動物である霊亀(れいき)と麒麟(きりん)は、徳の高い君主の治世に現われる瑞獣(ずいじゅう)です


 国宝  鳥獣戯画 丙巻

平安~鎌倉時代・12~13世紀 京都・高山寺蔵

■ 将棋と耳引きの場面。丙巻人物戯画にはこうした勝負事が多く描かれています


 国宝  鳥獣戯画 丁巻

鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵

■ 馬上から的を射る流鏑馬(やぶさめ)。的確な筆さばきでスピード感を表現しています


鑑賞のポイント
 今回の展覧会では合計44メートルを超す国宝4巻の全画面を一度にご覧いただくことができます。普段はできない、各巻を横断的に見比べることができるのは全巻全場面展示ならではの醍醐味。よく似通った甲巻と丙巻の擬人化された兎、猿、蛙はもちろんのこと、乙巻と丙巻の鶏や犬、乙巻と丁巻の馬や牛といった動物を見比べてみると、各巻の線の違いがよく分かります。その他、甲巻と丁巻の法会の場面、丙巻と丁巻の験競べといった人間と動物が同じ行動をしている場面を比較してみるなど、楽しみ方は無限大です。

断簡や模本も集結、<鳥獣戯画のすべて>に迫る

断簡や模本も集結、
<鳥獣戯画のすべて>に迫る

 鳥獣戯画の一部が本体と切り離され、掛軸などに仕立て直されて伝来した断簡、さらに原本ではすでに失われた場面を留める模本を国内外の所蔵先から一堂に集めてご紹介します。国宝の4巻とあわせ、現存する<鳥獣戯画のすべて>が集結します。


 重文  鳥獣戯画断簡(東博本)

平安時代・12世紀 東京国立博物館蔵

 鳥獣戯画甲巻から分かれた断簡。画面左手に見える黒点は甲巻の第16紙、風にそよぐ萩の花とつながり、もとはここから分かれた場面であることが分かります。各巻に押される「高山寺」印がないことなどから、江戸時代初めには既に甲巻を離れていたとみられます。


鳥獣戯画断簡(MIHO MUSEUM本)

平安時代・12世紀 滋賀・MIHO MUSEUM蔵

 兎と猿の競馬(くらべうま)とそれを見物する動物たちを描く、同一グループの作例が三点確認されている甲巻系の断簡です。甲巻前半と紙質や筆致が近く、特に秋草の表現は非常によく似ており、同一筆者によって描かれた可能性があります。



鳥獣戯画模本(長尾家旧蔵本)

室町時代・15~16世紀 アメリカ・ホノルル美術館蔵
Honolulu Museum of Art, Gifts of the Robert Allerton Fund, 1954 (1951.1) and Jiro Yamanaka, 1956 (2212.1)
※会期中場面替えあり

 甲巻が錯簡(さっかん)(絵巻の順序が入れ替わること)となる前の状態を写した模本。囲碁、首引き、高飛びなど、現状甲巻にない場面も確認できます。巻末には蛇の登場で蛙が慌てふためくシーンがあり、これが甲巻本来の「オチ」ともいうべき場面だったのでしょう。

高山寺中興の祖、明恵上人の信仰と美術

 鳥獣戯画の伝わる高山寺は、鎌倉時代の僧、明恵上人によって再興され、多くの文化財が伝わります。高山寺の開山堂に安置され、「秘仏」として普段は公開されていない重要文化財「明恵上人坐像」が27年ぶりに寺外で公開されるほか、明恵ゆかりの品々もご紹介します。


 重文  明恵上人坐像

鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵

 鎌倉時代の初めに高山寺を中興した明恵上人等身の木像。肉身や衣の彩色が今なお鮮明に残り、修行のため紀州で切った右耳もきちんと表現されており、まるで生きているかのように迫真的です。


 重文  子犬

鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵

 首を傾けつぶらな瞳でこちらを見つめる、なんとも愛らしい子犬の像。明恵上人が手元に置いて愛玩したと伝えられています。


龍子(たつのこ)

京都・高山寺蔵

 このタツノオトシゴは明恵上人が所持していたと言われ、異国への憧憬を伝える品です。



 (前期)義湘絵:善妙が龍となって義湘の航海を助けた、迫真の場面です


 (後期)元暁絵:龍宮にある特別な経典を、王の使いが脛を割って中に入れ、持ち帰る場面

 国宝  華厳宗祖師絵伝

鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵

 新羅国(古代朝鮮半島の国)の華厳宗の祖、義湘と元暁を主人公とする絵巻です。修行のため唐に渡る義湘と、彼を慕う善妙という女性の物語を描く義湘絵。龍宮から取り寄せた経典により王妃の病を治した元暁の物語を描く元暁絵。女性の救済など明恵上人の事跡とも重なるテーマを、異国の高僧のストーリーを借りて描いた長編ドラマです。


 (後期)元暁絵:龍宮にある特別な経典を、王の使いが脛を割って中に入れ、持ち帰る場面